世にも奇妙な物語データベース

STILL

7時15分、目覚まし時計を止める主人公（大沢健さん）。
いつも通り起きて支度をしようとすると、何だか様子がおかしい。
挨拶しても返事が無く、目の前の新聞を取り上げても反応のない父。
台所で料理中の母も、2階でパジャマを脱ぎかけている姉も、皆そのまま静止(STILL)していた。
外の近所の人も通行人も皆動いていない。まるで時間が止まったかの様に。
しかし、バス停で待つ女性のイヤホンの音楽は流れている…。

主人公は一旦家に帰った。
相変わらず動かない家族。
時間が止まったのか？と思うが、時計は動いている。
TVを付けると、生放送のニュースのアナウンサーとレポーターは止まっているが、
アニメや時代劇は正常だった。今いる人間だけが止まっている様だ。
「でも、だったら、何で俺だけ…」
友人に電話をするが、留守電だった。機械等は動いているらしい。

車の走る音を聞いて再び外へ出ると、トラックが走っていた。
大声でその『ZAH-CP』と書かれたトラックを呼び止める主人公。
「あの、一体何が起こったんですか？」と主人公は訊くが、
「どうして動いてるんだ？」「分かるわけないだろ？俺に」
降りてきた作業服の男2人は驚いて顔を見合わせていた。

そのまま訊き続ける主人公を見ながら、
「おかしいなぁ…信号がちゃんと出てないんじゃないのか？」
「いや、そんなことはないだろう。だって現に他の区域は全部通常通りに停止してたんだからさ」
と言った。どうやら他の場所も停止しているらしい。
「センターへ連絡するかよ」「ああ…だけど面倒な事になんなきゃいいけどな」
主人公の問いには答えず、リストをぱらぱらとめくるピンクの作業服の男。
「長年やってるけど、初めてだわ。変換のリストには出てないしなー」
当惑する主人公。横で無線連絡をするオレンジの作業服の男。
「C地区の…そうです。作動してるんですよ。いや、本当ですって。停止しなくて」
回答があったらしく、「あの…あなた達は？」と訊く主人公をよそに話す作業員。
「何だか原因は分かんないんだけど、とにかく検査してみるから回収しろだとさ」
「しょうがねぇな」
作業員達はそのまま主人公をじろじろ見て、脇を抱えて無理矢理トラックに乗せようとした。
「しかしさ、作動中のこいつら運ぶなんて初めてだぜ」
「とにかく早く済まそうぜ。時間ももう無いから」
主人公は必死で抵抗し、男達を振り切って逃げ出した。トラックで追う男達。

階段に隠れ、何とか男達を撒いた主人公。すると、すぐ先に先程とは別のトラックが。
様子を見ると、作業員達は動かない通行人の女性を何やら調べトラックに乗せたかと思うと、
ビニールの中からそっくりな女性を出して取り替えていた。
トラックの中には、他に動かない男性等も見えた。
「何なんだあいつ…」
近くに寄って見た主人公は、後ろで静止していたサラリーマンを倒してしまった。そこへ先程のトラックが…。
再びトラックから逃げる主人公。
その時、トラックに無線連絡が。
「5分後にシステムが再作動するから、もう戻れとさ」
「ん？だっていいのかよ、あれ」
「解除するってんだから、もうそれしかないじゃねぇかよ」
「はいはい、分かりましたよ」
横道に逸れるトラック。

走っていた主人公は、駅前の大通りまで来ていた。
後ろの大時計（そごう？）が7時55分を指していた。
大勢の人々が歩いている様だったが、誰も動いていない。
呼びかけても反応はない。
走リ去ろうとした時、8時の時報が鳴った。
思わず振り返る主人公。動き出す人々。
大通りの中心、そのままのポーズで動かなくなる主人公。