世にも奇妙な物語データベース

捨て魔の女

栞（深田恭子）はもう29歳のフリーアナウンサー。 女子アナにしてはいい歳だが、レポートはワンパターンで人気もなく、 スケジュールはガラ空き。
ある日、道で僧侶とすれ違い、 「何かを得たければ何かを捨てなければならない」と言われる。 その夜、一人暮らしの家にやってきた彼氏にお気に入りの洋服が破れていることを指摘され、しぶしぶ捨てることに。
その翌日、商店街のくじ引きで松坂牛1kgが当たる。 シャツを捨てたから当たったのか、半信半疑になりながらも 選挙レポーター募集の張り紙を見て、 大切にしていたレアもののキーホルダーを捨ててみる。 すると、みごと選挙レポーターに。 （両手を挙げるポーズのキャラが選挙の万歳に重なる） 以来、ものを捨てるたびにどんどん仕事が舞い込むように。

そんなとき、全国ネットの台風中継のレポーターが倒れ、 代わりを探しているスタッフを見かける。
「絶対にやりたい！」と思うも、捨てるものがない。 やむなく彼氏からもらった大切なネックレスを捨て、レポーターをゲット。 それを見たという東京のマネージャーから 「全国ネットのお天気お姉さんをやりませんか？」と誘いが。
その仕事を得るためになにかを「捨てなきゃ！」と焦りながら帰るも、 自宅にはもうほとんど捨てるものがない。 そこにやってきた愚痴ばかりの彼氏を見て、 「もういらないか」と彼氏を「捨てる」ことに。

全国ネットのお天気お姉さんとして東京の高層マンションで 豪華な暮らしをする日々の中、スタッフが 「土岐田栞ってタレントと勘違いしてるんじゃないですか？ 　台本通り読めっつうの」と陰口を叩いているのを聞いてしまう。 自宅に帰った栞は「持ちすぎた……いらない！」と 家族の写真以外すべてを捨て、がらんとした部屋で繰り返し原稿を読む。
朝から夕方の番組へ異動し、女子アナ人気ランキングも２位につけるが、 同じ番組のメインMCであり、人気ナンバーワンのアリス（上野なつひ）を 「いらない」と感じるように。 番組終わりにアリスのデスクへ向かうと彼女のものを床へと捨て、 そこに自分も倒れこむ……。

気づくと家。 「番組が終わって倒れたと聞いてかけつけてきた」という妹（阿部純子）が 買ってきたコンビニ袋の荷物を窓から投げ捨て、さらに唯一もっていた 亡くなった母と妹と撮った写真も「いらないの」と捨てる。
アリスにスキャンダルが発覚し、メインMCの座につく栞。 そして、女子アナの頂点、夜のニュース番組キャスターのオファーが。 しかし、スキャンダルのほとぼりも冷めつつあるアリスも その番組の候補のひとりだという。 栞はアリスを高層ビルの屋上へ呼び出し、 「あなた、もういらない」と突き落とす。

栞はキャスターの座を獲得し、視聴率も上々。 記者たちにネタの良し悪しを指摘するまでに。 しかし栞のゴリ押しで不確かな情報で汚職事件のニュースを放送し、 謝罪するはめになったことをきっかけに、数字がどんどん下降。 報道局長に「君が数字を落としたんだぞ」と指摘され、 「数字がほしい」「スクープさえとれれば」と追い詰められた栞は 何も捨てるもののない部屋から自分を捨てる。

翌日、栞がキャスターを務めていた番組で、 男性アナウンサー（榎並アナ）が「これを流してほしいと、 土岐田アナが残していた映像です。佐竹アリスアナの 死の真相についても言及しています」と、 栞が自分を捨てるまでの映像を流し始める……。