世にも奇妙な物語データベース

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仰げば尊し

放送回 1990.9.6
キャスト 山田吾一/浜村純
脚本・原作 末谷真澄

「吉村さんですね。今日入園予定の」
「はい」
「私ここで雑用などさせて頂いております、山口です」

戦時中に中学教師をしていた老人・吉村(浜村純)の、老人ホーム「福寿園」での生活が始まった。
スタッフの山口(山田吾一)に園内を案内される途中、針が逆に回る時計が目についた。

「変わってるでしょうあの時計。時間をどんどん戻して、皆さんにどんどん若返って戴こうという…園長のお考えなんです」

案内された部屋は日当たりも良く、窓からの眺めも富士山が見えるほど素晴らしい物だった。
吉村はぼーっと窓からの景色を眺めていると、ガチャリと茶碗の割れる音がした。山口が吉村の愛用している湯飲み茶碗を割ってしまったのだ。

「いやぁすいません。昔からこういう粗相ばかり繰り返してましてねえ…。昔はこういう失敗をしてよく殴られました。吉村さん、中学で数学の先生をなさってたんですってね? 私は数学が苦手でしてね。中学の時に嫌な数学の先生が居まして、ますます嫌いになりましたよ…」

笑顔で当時の事を語る山口に、吉村は何となく嫌な感じがした。その数学教師は軍隊出身の暴力教師だったらしいのだ。

山口の語りは続く。

「『山口、貴様それでも日本男児か!』というのが決まり文句でね…」

山口が通っていた学校の場所を尋ねる吉村に、彼は「ここですよ」と答える。昔この老人ホームがあった場所は中学校だったのだという。

「山口…」
吉村は、何となく聞き覚えがあったその名を呟いた。

その日の夕食。
ご飯のお代わりを勧める山口だったが、
「痛っ!!」
彼のよそった米の中に小石が混じっていた。痛む頬を押さえながら部屋に戻って寝床に入る吉村。しかし…
「っ!!」
鋭い痛みが全身に走る。痛みの原因は布団に刺さっていた針だった。吉村は大声で山口を呼んだ。布団を敷いたのは彼なのだ。

「…申し訳ありません!入園早々私のせいで不愉快な思いばかりさせまして…」
と土下座する山口だったが、すぐに笑顔に戻り、吉村が持ってきた竹刀を手に取った。そしてまた昔の事を話し始める。数学教師によく竹刀で殴られ、耳が悪くなったのだと。

その瞬間吉村は思い出していた。
かつて自分が竹刀で耳の辺りを殴ったその子供の事を…。

翌朝――。
外を散歩していた吉村は、大型犬の散歩をする山口に出くわす。犬嫌いな吉村が石を投げつけた途端、その犬が彼に襲いかかった…。
はずみで斜面を滑り落ちる吉村。

「吉村さん大丈夫ですか?バロン(犬)は向こうに崖があるから危ないって教えてくれたんですよ」
「キバを剥いてかぁ!」
見え透いた嘘をつく山口にいい加減苛立った吉村は「貴様…それでも…」と怒鳴りかけてしまう。

治療のため一旦部屋に戻った二人。看護師によると、ソフトボール大会のため、他のスタッフや老人達は園を留守にするという。夕方まで吉村は山口と二人きりなのだ…。

表向きは笑顔だが確実に恨みのこもっている山口の視線に耐えられなくなった吉村は、這いつくばりながら園を出ようとする。

「誰かぁ!殺される!助けてえっ!」
「なに?散歩に行きたい?なら私が連れてってあげましょう…」

とぼけた山口に無理矢理車椅子に乗せられ、表へと連れて行かれる吉村。

「身体が感じる痛みは傷が治るに従って薄れていきますけど、心が感じた痛みは時が経っても一向に薄れないんですよ。むしろ…日増しに激しくなる事だってあるんですから!」

森に入り、崖ぎりぎりの所で車椅子を止める山口。つんのめる様にして車椅子から降りる吉村。
「覚えてるでしょうこの場所。立って下さいよ…吉村先生?」

 (山口…貴様…それでも日本男児か!!)

吉村は転がっていた石を手にすると、山口の頭へと振り下ろした……。

一ヶ月後。
行方不明になった山口の代わりに、新しいスタッフ・内田が派遣されて来た。彼は山口と中学が一緒なのだと言う。

「嫌な教師が居ましてね。山口と私だけがいつも制裁を加えられていたんです」

彼の言葉に思わず顔をしかめる吉村。

「私の左腕はこれ以上、上がらないんです。これもその男の暴力のせいなんですよ…」

コメントまとめ

うろ覚えで失礼します。 たしか主人公の老人は元教師だったように思います。老人ホームで暮らす主人公の所に新しい介護の人が来る。それがかつての主人公の元教え子だった。様々な事故(故意かどうかははっきりとは語られない)の後、山奥の散歩の途中で怪我をした車椅子の主人公を怯えさせた教え子が彼への恨みを述べる。恐怖の余りに主人公が脳天へ石で殴り付けるシーンで画面が真っ赤に染まる。 次の場面で主人公はかつての元通りの老人ホームの生活に戻る。教え子は行方不明扱いです。するとまた新しい介護人がやって来る。彼は主人公に懐かしそうに老人ホームがかつて通った学校そっくりだと話し、その時の教師に殴られたせいで右腕が肘までしか挙がらなくなった事を話す。 という所で終わるのではなかったでしょうか?まとまらなくて申し訳ありません。TVで見たのは小学生の頃でした。

心理的に追い詰めていく様が怖い。

老人ホームに来たのは元教師の方ですね。 そこでかつての教え子と対面します。

原作よりもいい出来。 面白かったあ・・・。 最後のシーンはゾクゾク。

浜村純さんと山田吾一さんの名演技 特に浜村さんは元体罰教師という風情を上手く出せていた

今でも雰囲気が思い出せる良作

幽霊とかそういう直接的な描写よりもこういう精神的に追いつめられる様の方が怖いかも お気に入りのツボ(だったかな?)を(わざとだが)壊したりご飯の中に石とか見てる方も鳥肌立つような演出がいいです

「吉村センセイ」ってセリフが頭に残って 恐怖です。

これは名作。
主人公と教え子が二人きりになり、主人公が逃げ纏うシーンは凄くゾクゾクした。

これはすごく好きな作品です。学校でのいじめのような展開。大人になってもひどいめにあわされたことは、忘れない.ということですよね。

これって、清水義範の「復習病棟」と設定・展開がよく似ているのですが…。
てっきり、設定を変えた焼き直し作品だと思っていたのですが、他に原作者がいたとは。

強烈なインパクトがあった話です。「体の傷は癒えても、心の傷は癒えることがない、むしろもっと肥大して憎しみが増す」というような台詞を山田吾一が言ってますが全くその通りだと思います。この元教師、人生の終焉近くになって過去の自分の罪(しかも相手からここまで恨まれてる事など全く知らなかった)に対する罰を受けたんですね。そして隠蔽したものの、殺人者になっちゃった。最後にこれでもか、とばかりにもう一人の元生徒がやってきて・・・怖い、怖すぎる。このおじいさん、後味悪い人生ですね。人に恨まれることをすれば、めぐりめぐって自分に返ってくるって事の教訓ですね。

世にも奇妙な物語のなかでも歴代1位の作品だと自分的には思う。現実的にも起こりうる話だし誰かを傷つければその代償は払わなければいけないと言うこと!ラストの木村元が怖かった。山田吾一のアクセントをつけた演技は素晴らしいと思う。

ラストは血の気が引いた。
こういう人間の怖さこそが「よにも」の真骨頂だと思う。

まだ卒業のときにお礼参りとしてパンチをお見舞いされるほうがましだよ。


傑作。

エピローグ:老人ホームのロビーらしき場所にて。

タモリ:「人はその人生の中で多くの過ちを犯します。そして多くの場合、自分の犯した過ちに気づく事無く生涯を終えます。当の昔に忘れてしまった取るに足らないイタズラや意地悪でも、される側には深い傷となって一生残ったりします。皆さんもお気をつけて。それではまた・・・」

山口と内田を尻目にどこかへと立ち去っていくタモリ。

人間て恐ろしい生き物ですね。

タイトルも良し、傑作ですね。
しかし、こんな形での再会は恐ろしいですね。
時に、非常に重大な教訓を、世にもは教えてくれますよね。

これ、結構怖かったなぁ・・
内容改めて今読んでぞっとしました・・
めぐり合わせってどこでどうくるかわからないし、やっぱり人を傷つけてはいけないなって思います。
世の中の先生方もちょっとどきっとした一作だったのでは・・・?

最後のシーンで、再び体罰を受けた生徒が派遣されてくるっていう設定も、もう逃げられない恐怖をそそりたてますね・・
怖い〜。。

悪人のほうを主人公にして感情移入できる視点がいい。いじめられた側を主人公にしちゃうと相手が悪い奴、やったー復讐したーで終わっちゃうから。
自分が気づかなくても相手をひどく傷つけてる事がある、突然しっぺ返しを食らう事もある、と反省を促す設定で○。

過去の因果が現在の己に巡り・・・という秀逸な恐怖譚でしたね。

山口って人の気持ち、痛いほど解る!!!!

すごく印象に残っている作品!
最後にまたかつての教え子がやってきて・・・腕が肘までしかあがらないと言っているシーンが妙にゾクッとした覚えがあります。

結構ゾクゾクするし長年の恨みって恐ろしいなぁーと思いますよねー
まさかこんな運命が待ってるなんて…

人を傷つけたらダメだという事ですね。
ところで山口さんは先生に殴られて死んだんですかね?

復讐病棟に似てるなぁ~

世にも初期の傑作中の傑作。出演者も少ない地味な作品ながら、テレビ放送から四半世紀たっても印象は鮮烈。
過度の演出もなく、ベテラン俳優2人の抑えた演技が、かえっていつまでも消えない復讐心の恐ろしさを心底、感じさせて忘れられない。

2014春の「復讐病棟」と筋書きは類似しているが、ぞっとする怖さの余韻が後々まで残る点で、本作の方が数段優れている。
最近の世にもには、本作のような心胆を寒からしめるような作品が少なくなった。

復讐病棟だ!
と思ったらすでに何人か書いてらっしゃいましたね。

この話しは怖いですよね。ところで吉村が山口にたいして最後石を脳天に振りかざしたあと山口はどうなったと皆さん思いますか?私は意識不明になって死んだと思います。想像の世界ですが多分
吉村先生は山口を殺した後施設の人に行方不明だと嘘をいったとも思います。
長々と失礼しました。

因果応報 また見たい作品

俺は何人もやってきたが仕返しなんてされてねえぞ

忘れてた若い頃の恨みを思い出したわ
おい○○、待ってろよ必ず復讐するからな!

でもその前に自分がした事も清算せにゃイカンわな・・

小学校の頃、忘れ物をするとよく先生からビンタをくらっていたな。

・・・(-_-;)

教え子に殺されると思いきやまさかの返り討ち。
第2の教え子登場で笑ったw

教え子が逆にやられたんだ…憎まれっ子世にはばかるってこの事なのかな。でも昔の学校って何処も酷かった様だね。今じゃ考えられないけど。オイラの通っていた中学校も凄かったよ。今でも教師による教師への苛めが有ったみたいだけど、教師間の仲間割れとかが酷くてさ、授業中に他の教師が怒鳴り込んで来るとか

世の中怖いね
自分で善かれと思ったことでも人によっては恨まれることすらある

くわばらくわばら

この主人公の吉村先生に最後殴られた山口さんはどうなったと思いますか。私は殴られ方からみて意識不明の重体になったと思います。あ~とうめく感じだったので。

↓亡くなったとしたら、主人公吉村さんは殺人罪で
逮捕ではないですか?

↓山口さんは多分吉村先生に恨み骨髄だったと思う。
このこの話はどうなると思いますか?
山口さんの代わりに来た内田さんにまた嫌がらせされて
最後には頭にガツンとやる結末になったと個人的に
思います。

↓1(2023-02-28 22:05:19)
内田が山口の後を追ったとしても、吉村に暴力を振るわれた当時の他の生徒が新しいスタッフとして派遣されて、先の2人の後を追ってもまた他の被害者が派遣されて‥‥というこの番組らしい無限ループに陥るんじゃないかな。

あおげば尊し わが師の怨 ってか

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